皮膚科ナースの外用指導
専門家による、美と健康に役立つコラムをお届けします。

伊東奈美
日本皮膚科学会・日本皮膚科学会認定看護師
従事歴:
2015.4 公益財団法人東京都保険医療公社大久保病院 脳外科病棟
2016.3 医療法人誠光会ロイヤルビューティクリニック 美容皮膚科
2017.3.1~ あたご皮フ科
2020.4.1 日本皮膚科学会皮膚疾患ケア看護師取得
多くの皮膚疾患では、患者さんが日常の中でケアしていくことがとても重要です。
例えばアトピー性皮膚炎ではドライスキンなど皮膚のバリアが低下しやすい事から日々のセルフケアがとても大切です。
外用方法においては、患者さんの理解度に合わせて何度でも繰り返し説明します。外用薬の有効成分が皮膚に移行し、吸収されることで効果が得られる為、ある程度の時間と十分な薬の量が必要です。
どうしても「薬の塗る量は少なくしたい」という患者さんの気持ちがあるため必要な量よりも少なくなりがちです。そこで実際に患者様の腕などで塗る量や、塗り方を一緒に確認しています。
塗った直後、ティッシュペーパーをつけても落ちない量を目安にし、たっぷり、すりこまず、優しく伸ばし広げていきます。実際に目で見ると、思っていたより量が多く、「え、そんなに?」と驚かれますが、良くなってくると薬の塗る量も減ってくるのでまずはしっかりと決められた治療をしていくことが大切です。
また先生に伝えづらいことや、具体的に悩んでいることをナースに相談してみてください。
皮膚科ナースは色々な患者さんと日ごろから接しているので、セルフケアを続けていく為のアイデアもたくさん知っています。
例えば外用剤が「べとべとして嫌だ」という方へは一枚汚れてもいい肌着を着ることや「一人暮らしで背中など塗れない」などへ靴ベラ等を代用して軟膏を塗る方法などを提案します。
できるだけ患者さんの負担が少なく、「やっていける」「続けていこう」と思えることが大切です。
皮膚の症状がよくなってくると患者さんの表情も柔らかく優しい印象になってきます。
一人でも多くの患者さんに、「良くなること」を自分自身の手で体験していただきたいです。
伊東奈美(日本皮膚科学会・日本皮膚科学会認定看護師)
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